信州百名山の想い出(弐ノ章)

百の山に百の楽しみがある、とは深田久弥氏の名文句であるが、私にとっても信州百名山の頂きにはその時々
の想い出がある。登頂時の時代背景、一緒に登った仲間、楽しかった事、苦しかった事、人との出会い等々。
自分の登山史とも重なるので完登まで一桁になったのを機に整理してみた。
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 26.高社山
    この山もスキー場トップからの山スキー山行。但し山頂直下は見るからに狭くショートスキー
    の出番。前々日に聖山へ行った装備と全く同じ内容で出掛けるが、今日は最上部までリフト。
    ゲレンデトップから僅かなハイクで山頂到着。天気も快晴に恵まれ、展望櫓から北アルプスや
    飯綱山〜妙高山と連なる眺めを十二分に堪能した。

 27.鳥甲山
    秋山郷に在る急峻な山として苗場より登高意欲は強かった。実現したのは社のワンゲル山行。
    当時まだ週休二日制前で土曜の午後出発、和山温泉に前泊しての山行だった。中津川を渡る籠
    に乗り自力で綱を引き対岸へと渡ったり、シャリバテしたT田嬢の事が何故か印象に残る。
    下山は屋敷コースへの急坂を降りる周回で、勿論屋敷温泉への入湯付き。

 28.苗場山
    夫婦揃って日本百名山狙いの保険屋M島氏に誘われて同行。夫妻とはこの時が初の山行だった
    が、以降幾つかの信百も一緒に登る事になった。下山後、暗くなった秋山郷を車で走ってる時
    に前方10m程を親子連れのクマが横切った。自然のツキノワグマを間近で見たのはこれが初。

 29.佐武流山
    信州百名山のファイナル登頂。お祝いに山仲間8人が集まってくれ、さとさん手作りの祝幕に
    ついウルウル。大勢で楽しく登り、下山後のよさの里にてキャンプしながら祝賀大宴会ヶ岳♪
    皆さんの思いやりに、人と人との付き合いの大切さを実感。いつまでも友人は大切にしたい。
    翌日は鳥甲山を登る予定だったが、宴会と温泉でマッタリし過ぎて延期。これも亦よし哉。

 30.白砂山
    信百の中では入山口が他県からの山も何座かあったが、これもその一つで群馬県野反湖から。
    尤も、秋山郷切明からも辿れるが如何せん時間が掛かる。山頂からはこの山域で最後に残った
    佐武流山を始め苗場山・鳥甲山も見え、位置関係が良く解る。登頂時期はお盆過ぎだったが下
    山途中に中年ご夫婦とソロの方に会っただけの、静かな一人旅だった(^-^;
    帰路は川床から湯が湧く尻焼温泉のスケール大きな野湯に浸かる♪

 31.岩菅山
    初登頂は高校二年の秋、同級生の宮本・一年後輩の清水とテン泊で大沼池までの縦走だった。
    朝は真っ白に霜が降り寒かった。写真はその時のもの。その後は子供達が小さい頃、家族と会
    社の若手を誘いネマガリ採りを兼ね登頂。下山後、沢で筍汁を作ったのは勿論。以来、永らく
    登ってないので山スキーででもと考えている。2012.7.29中条ふれあい登山で久々訪問。

 32.志賀山
    今ではすっかり山岳会のポン友となった、たかちゃんとの二度目の山行で登頂。直前に、前年
    涸沢稜線から滑落し奇跡的に助かった従兄弟の邦夫さん復帰足慣らし大渚山が初山行だった。
    この頃から高山植物のマクロ撮りに嵌りだしていたが、四十八池へ至るまで予想外の花の多さ
    に大満足の日だった♪

 33.笠岳
    夏場は峠の茶屋まで車で行け三十分ほどのハイクで簡単に登れてしまう。その車道が冬季閉鎖
    となってから、敢えて山田牧場から登行開始。ちょうど夜半の雨が雪に変わり上部はうっすら
    雪化粧。登るに従い霧も晴れ、霧氷となったダケカンバが青空に映え白い花が咲いたよう♪
    二度目の登頂は山スキー(山頂手前はツボ足)で登り、タコチコースをツァー♪

 34.横手山
    言わずと知れた志賀高原の最高峰。山頂までリフトが架かり登頂する感覚はない。何度もスキー
    で行ってるので、初登頂の時期がいつだったかは覚えていない。記録も無いのでやはり写真を
    撮りに行かねば。晴れていれば山頂からの展望が素晴らしい。また志賀高原の紅葉も特筆に値
    する。リンクは2010年9月26日にご来光撮影を兼ねて山行したものを♪

 35.御飯岳
    長野市北西部から東南方向を見やれば、志賀高原と菅平の間で大きな山容を見せるのが、この
    御飯岳。此処も先に信百完登を狙い出したヒロちゃんに誘われ、高山村から万座温泉へ通じる
    林道の除雪を待って訪問。破風岳へも登り林道端で宴会ヶ岳。車へ戻る途中不覚にも歩きなが
    ら眠ってしまったのも、今思えば楽しい想い出(苦笑)

 36.四阿山
    初登頂は晩秋の快晴日、山スキーの下見を兼ねてあづまや高原ホテルから。スパッツを忘れて
    朝露に濡れたのは参ったが、無事に登頂。その後、長山協の東北信支部役員となってから、毎
    年7月に夏山登山教室の実技山行として4年連続で登ることになる。残念ながら山スキーでは
    行ってないので、機会を作って行きたいもの。。。

 37.烏帽子岳
    娘が小学低学年の頃、会社の仲間と共に登頂。マイカーを使わず電車〜バス〜タクシー〜電車
    と利用し東部町から地蔵峠経由で登り、真田町角間温泉へと降る。娘は社のワンゲル仲間M田
    さんに懐き、M田嬢も良く面倒を見てくれた(感謝)。娘は覚えているかな?
    山頂写真しか無く久しく登ってなかったが2011年7月23日、高山蝶観察会でミヤマシロチョウ
    探しに47年ぶりの再訪。山頂直下で目的の蝶に逢えた♪

 38.太郎山
    上田市民の山として親しまれているが、信百踏破の目的が無ければ恐らく登る機会は無かった
    と思われる。この日は同じく信百の子檀嶺岳とセット山行。市民の山だけに山頂手前の神社軒
    には年間登頂回数の多い人の顕彰額が掲げてあった。その中に自分と同じ名前(姓は違うが)
    を見つけてビックリ!と同時に見知らぬ人への親しみも感じる。

 39.篭の塔山
    高校時代に山岳班夏合宿前の訓練山行として雨の中を登ったような・・。記録も記憶も定かで
    なかったので、2005年10月に鼻曲山とのセット山行をおこなう。午前中に鼻曲を登り、篭の塔
    登山口兎平で昼食を摂ってからスタート。前夜の雪もすっかり融け樹林帯はぬかるんでいた。
    30分ほどで山頂に着くと風は強いものの、浅間山はじめ上信県境の山並みが晩秋の澄んだ青空
    の下、やがて訪れる白い季節を静かに待っているようだった。。

 40.浅間(前掛)山
    信州百名山の中で唯一山頂を踏めない山。この時は黒斑しか登れなかったが、現在では前掛山
    まで入山可能。以前、お花の撮影に黒斑へ登り下山時に寄った火山館で、K田館長と意気投合
    湯の平クロカンスキーを勧められていた。目標はJバンド取り付き辺りからだったが、縦縞の
    残雪に魅せられ前掛山へと登り詰め禁を犯してしまった(苦笑)。急斜面でのクロカンは惨敗。

 41.鼻曲山
    信百狙いを始める前は知らなかった山。初登頂は2005年10月篭の塔とセットで浅間の初冠雪。
    軽井沢側から一時間余りのハイクアップで山頂へ。二度目に登ったのは、この山の北斜面が以
    前から撮りたかったレンゲショウマの群生地と知り二度上峠から(笑)レンゲショウマは期待
    に違わず薄暗い林床に可憐な花を咲かせていた。

 42.荒船山
    その荒海に浮かぶ軍艦の如き山容からいつかは登ってみたいと思っていたが、前の週に経ヶ岳
    を同行して貰ったM重さん、M野さんと急遽の山行が決まる。天候の安定しやすい時期だけに
    晴れて気温も下がり、地中の霜柱と植物のシモバシラ現象が見られた。内山峠から登り荒船不
    動尊にに降りたが小春日和の長閑な一日だった。艫岩からの覗き込みはスリル満点♪

 43.茂来山
    同じ県内でも中条から佐久方面は遠い。この時も折角だからと天狗山とのセット山行。天狗山
    を午前中に登り、11時過ぎから登行開始。栃の巨木こぶ太郎を過ぎると流石にシャリバテ。
    軽く食事後、山頂への尾根を登って行くと社の取引先知人にバッタリ。奥さんとの二人山行♪
    お互いの意外な趣味を知って、その後会社で顔を合わせてもすっかりうち解けられた。

 44.御座山
    夫婦百名山ハンターのM島夫妻&I下さんと、アズマシャクナゲ適期の登頂。
    登山ルートは、最短だがあまり歩かれてない北相木村山口から。途中まではカラマツ林が続き
    以降は尾根筋まで原生林となる。お目当てのシャクナゲは山頂手前から現れ出し、開花も丁度
    見頃。岩峰ピークでビールを開け春うららの展望を楽しむ。立ち寄りの湯川温泉が何とも・・

 45.天狗山
    以前、仕事で川上村役場へ行く時に初めて目にし、そのそそり立つ岩峰に何時か登って見たい
    と思っていたが、まさか信百狙いで来ようとは。前述の様にこの日は茂来山とのセット山行。
    馬越峠に車を駐め山頂ピストン。お花を撮りながら小一時間でピークに立てば、眼下に広がる
    野辺山高原の向こうに八ヶ岳が聳え、北アや北信五岳、浅間、振り返れば金峰・甲武信と正に
    360度の大展望だった。

 46.甲武信岳
    千曲川流域に住む山好きにとって、いつかはその源流の山を訪ねてみたいと誰しも思うに違い
    ない。丁度、役員をやっている長山協の親睦行事・小川山キャンプの当日、夕方集合に合わせ
    登る事とした。毛木平に駐車し川の流れに沿って登山道を行く。水源地標を過ぎひと登りで山
    頂に立てば360度の展望。巨大な百名山標識は頂けないが、選定に違わぬ存在感を実感。
    下山を十文字峠経由とし、初秋の一日奥秩父の名峰を静かに味わう。

 47.国師岳
    大弛峠に駐車し午前中の金峰山とのセット山行。奥秩父の峰が連なり至近の北奥千丈岳よりも
    僅か標高が低い。金峰・甲武信も近く、清水さんが何故この山を選定したのか若輩には不明。
    金峰山のついでにピークを稼いだ・・では、ちと失礼かな(苦笑)

 48.金峰山
    川上村から大弛峠への道は山梨県側からとは雲泥の差らしい。荒れたダートでも車で行かれる
    ので、アプローチは簡単。登頂時は登山道に霜柱が出来る秋晴れの日、稜線の樹間から雪の衣
    を身に付けた富士山が朝日を浴び聳える。五丈石の鎮座する山頂からは瑞牆山頂が眼下、その
    先には八ヶ岳が衝立のように並ぶ。南ア北部の山座同定もでき、一人山頂ステイを楽しむ。

 49.小川山
    フリークライミングの聖地として有名だが、砂洗川沿いに八丁平へ上れば金峰や甲武信では失
    われてしまった、最も奥秩父らしい雰囲気を持つ山かも知れない。苔生した原生林と点在する
    シャクナゲ。鳥の鳴き声しか聞こえない静寂。クライミング人気とは全く別の素顔を見た感。

 50.白馬岳
    高校一年時の山岳班夏山縦走以来、北アでは最も登頂回数の多い山。姉と二人の白馬三山縦走
    独身時代のカミさんと仲間4人での唐松まで縦走、大雪渓の春スキーや山スキー、ワンゲル後
    輩とその同期女性を連れての白馬大池周回など。リンクした姪夫婦と白馬大池にテン泊してノ
    ンビリ二泊の山行も想い出に残る。あれから三年経ったが姪も山歩きが板についたかな?


初版:2007年 9月13日 虫倉山荘管理人